- 南極クルーズのエリア
1-1. 概要
1-2. 南極半島地域の観光
1-3. 南極までの移動手段(船と飛行機の違い) - 南極クルーズ運航会社の違い
2-1. 運航会社とは
2-2. 運航会社の種類
2-3. 乗客人員で何が違うのか?
2-4. ゾディアックボートの搭載数
2-5. まとめ - 南極クルーズシーズンの違い
3-1. 南極の観光シーズン
3-2. 観光シーズンの違い(南極半島周辺の場合)
3-3. 観光シーズンの違い(サウスジョージア島、フォークランド諸島の場合)
3-4. まとめ
1.南極クルーズのエリア
1-1.概要
1-1.概要
©National Geospatial-Intelligence Agency
7番目の大陸と呼ばれる南極大陸は日本の大きさの36倍、オーストラリア大陸のほぼ2倍の大きさです。
現在、南極観光は以下のエリアで行われています。
- 南極半島地域(船を利用して海からアクセス)
- 南極旅行で最も人気のエリア。
- 南極までの距離が一番近い。
アルゼンチンのウシュアイアから南極まで約1,000km(東京から小笠原くらい) - 最短で7日間~。
- 南極半島にはペンギン、アザラシ、海鳥などたくさんの野生動物に出会える。
- 雪と氷の景色を堪能でき、天候も比較的安定している。
- 南極旅行の約9割がこのエリアで実施されているため、運航会社やコースの選択肢が豊富。
- ロス海地域(船を利用して海からアクセス)
- ニュージーランドから乗船。旅行日数は約30日。
- 途中、世界遺産に登録された亜南極の島々へも訪問。
- 南極半島地域では見られない野生動物との出会い。
- 南極大陸内陸(氷上滑走路への離着陸が可能な航空機を使用)
- プンタアレナス(チリ)発着
内陸のベースキャンプに宿泊。南極点、コウテイペンギン営巣地、登山など各種ツアーを実施。 - ケープタウン(南アフリカ)発着
ビジネスジェット利用のラグジュアリーな旅。南極点、コウテイペンギンの営巣地を巡る。
- プンタアレナス(チリ)発着
1-2.南極半島地域の観光
1-2.南極半島地域の観光
- 南極半島
数ある南極旅行の中で一番訪れる地域です。地図上では南極大陸の先端部分ですが、ここは海流の影響で海が非常に豊かなため、夏の時期に多くの野生動物が集まり繁殖します。たくさんの氷河や氷山、雪と氷の景色もお楽しみいただけます。
主な野生動物:
ジェンツーペンギン、アデリーペンギン、ヒゲペンギン、ザトウクジラ、ミンククジラ、ヒョウアザラシ、ウェッデルアザラシ、カニクイアザラシ、ナンキョクオットセイ、オオトウゾクカモメ、オオフルマカモメ他
- 南極圏
南極半島より南下するにつれ、氷山が大きく海氷も広がってよりダイナミックな景色になります。南緯66度33分以南は南極圏と呼ばれ、ここまで到達する人は少なく希少価値が高いエリアです。
見られる動物は南極半島北部より少なくなりますが、南極滞在日数が多いコースなので、よりたくさんの発見や体験ができることでしょう。
- フォークランド諸島
イギリス領土の群島で英国文化が漂うポートスタンリーで散策することができます。周辺の島々は大自然が広がり、南極半島では見られない野生動物や植物をご覧いただけます。
主な野生動物:
ジェンツーペンギン、イワトビペンギン、マカロニペンギン、マゼランペンギン、キングペンギン、オットセイ、アホウドリ他
- サウスジョージア島
船でしか行けない絶海の孤島で、野生動物の楽園と呼ばれています。特に南極半島では見られないキングペンギンの巨大コロニーがたくさんあり、旅行日数の長いコースでしか行くことができない希少価値があり非常に注目度が高い場所です。
主な野生動物:
キングペンギン、マカロニペンギン、ジェンツーペンギン、ヒゲペンギン、ゾウアザラシ、オットセイ、アホウドリ、フルマカモメ、様々な鳥類等
旅行日数や予算、目的合わせて選び方が変わってきます。
1-3.南極までの移動手段(船と飛行機の違い)
1-3.南極までの移動手段(船と飛行機の違い)
南極半島へのゲートウェイは南米のウシュアイア(アルゼンチン)またはプンタアレナス(チリ)です。
南極へのアクセスは船または飛行機の2通りで、それぞれ長所短所があります。
移動手段
すべて船を利用
飛行機+船を利用
集合地、解散地
ウシュアイア(アルゼンチン)
プンタアレナス(チリ)
南極までの時間
1.5日~2日
2時間
船酔いの心配
ドレーク海峡が荒れると揺れる
空路のため揺れない
天候の影響
影響はなく、スケジュール通りに進められる
飛行機の遅延、欠航、南極での観光時間(日数)が減る可能性。
欠航が続くとツアーが中止になってします。
旅行日数
最短10日間~
最短8日間~
(プンタアレナスの前後泊を含む)
旅行代金
飛行機+船利用より安い
すべて船利用より高め
体の負担
南極までの移動中、船内でゆっくり休めるので、日本から南米までの移動疲れから回復することができる。
船内でレクチャーやブリーフィングが行われ、ゆとりある時間を過ごすことができる。
飛行機の出発時間は天候に左右され、搭乗までの拘束時間が長くなる可能性があり、体への負担がある。
乗船翌日から観光が始まるため、ゆっくり休むことが難しい。ブリーフィングは搭乗前日の夜に行われる。
★個人的な見解
飛行機+船のパターンと船のみのパターンの両方に参加した、私個人の感想です。
飛行機の場合、約2時間で南極のキングジョージ島に到着できるため、船酔いの心配がなくあっという間に南極に到着することができる反面、キングジョージ島の天候は非常に変わりやすく、私の時は午前のフライト予定を大幅に繰り上げて深夜に出発し、早朝に到着しました。前日には乗船に関する注意事項や説明会が行われます。全体的に南極到着まで慌ただしく時差の調整や日本からの長距離移動の疲れが残ったまま南極を観光した印象がありました。
船の場合、ゆっくり船内で体調を整えながら南極へ向かいます。船内では南極に関する説明会や様々な分野の専門家によるレクチャーが開講されています。だんだんと風冷たくなり氷山が見え始め、ようやく南極に来たんだという感動に浸れるのも船ならではです。
飛行機を利用する場合、以下のリスクがあることをご承知おきください。
- 悪天候が続き、ツアー中止となるリスクがある。 →ごく稀にありました。
- フライトが数日遅れることもある。 →万一に備え復路の国際線は変更可能タイプを購入することが重要です。
参考(キングジョージ島の天気)
キングジョージ島は霧や風の影響を受けやすい場所です。キングジョージ島の天気予報を監視して着陸できる状況だと判断した場合にプンタアレナスを出発します。キングジョージ島には空港ターミナルのような施設はありませんので、民間機はキングジョージ島に到着すると帰りのお客様を乗せ、プンタアレナスへ戻ります。
南極へのアクセスに便利な手段ではありますが、リスクもあることもご承知おきください。
2.南極クルーズ運航会社の違い
2-1.運航会社とは
2-1.運航会社とは
南極観光を実施する探検会社(Expedition company)で、IAATO国際南極ツアーオペレーター協会の会員です。この協会は南極条約に基づいて安全と環境に配慮した南極旅行を推進する国際組織で、約50社以上の運航会社が加盟しています。
2-2.運航会社の種類
2-2.運航会社の種類
南極観光を実施する探検会社(Expedition company)で、IAATO国際南極ツアーオペレーター協会の会員です。この協会は南極条約に基づいて安全と環境に配慮した南極旅行を推進する国際組織で、約50社以上の運航会社が加盟しています。
一般的に南極旅行(南極クルーズ)と呼ばれるツアーはカテゴリー1または2に該当します。
全運航会社の半分以上がカテゴリー1、全体の1割がカテゴリー2に属しています。
カテゴリー
船の種類
南極での観光
旅行代金
カテゴリー1
乗客人員13~200人
上陸して観光ができる
普通
カテゴリー2
乗客人員201~499人
上陸して観光ができる
安い
クルーズオンリー
乗客人員500人以上
上陸観光はできない(船上からの眺望のみ)
最も安い
ヨット
乗客人員12人以下
上陸して観光ができる
高い
地上(南極大陸内陸)
航空機を利用
ベースキャンプに宿泊して内陸を観光
高い
2-3.乗客人員で何が違うのか?
2-3.乗客人員で何が違うのか?
乗客人員が多いほどクルーズ代金は安くなる傾向にあります。特に上陸しないクルーズオンリーのツアーは南極旅行としては激安です。
一番のポイントは船外活動(上陸、ボート観光)の違いです。
IAATOの規定で南極に一度に上陸できる人数は約100名としています。
200人以上の船では上陸に3回転以上必要となるため、船内での待ち時間が長く、上陸時間が短くなってしまい、船外活動の回数も減ってしまいます。
南極の観光を重要視したい方はカテゴリー1の運航会社がお勧めです。
2-4.ゾディアックボートの搭載数の重要性
2-4.ゾディアックボートの搭載数の重要性
そしてもう一つ重要な項目はゾディアックボートの搭載数です。
ゾディアックは頑丈なエンジン付のゴムボートで、船からボートに乗り換えて、上陸やクルージングなどの船外活動を行う重要な乗り物です。
ゾディアックは通常1隻に10名ほどのお客様が乗船します。
南極へ一度に上陸できる人数は約100名です。
船から上陸のためにゾディアックを使用していますので、残りのお客様は上陸観光したお客様が戻ってくるまで船内で1時間以上待機となります。
上陸観光の時間の目安は約1時間強ほどです。
上陸していないお客様はゾディアッククルージングに出発することができます。クルージングでは海から野生動物や氷山を間近で見学することができ、探検船からの眺めとは違う、海面からの視点でダイナミックな観光を楽しむことができます。
クルージングが終わった後、そのまま上陸観光へご案内いたします。
先に上陸観光をしたお客様はゾディアッククルーズを行ってから船に戻ります。
上陸観光とゾディアッククルーズを合わせて3時間ほどの観光時間となります。
ゾディアックボート、ゾディアックドライバーの数は非常に重要で、観光時間が大幅に変わります。
2-5.まとめ
2-5.まとめ
南極クルーズは運航会社によって観光の運用方法が違いまので、お客様の優先する項目に合わせてお選びいただくといいかと思います。
例えば、
・南極を可能限りたっぷり観光したい / そこそこ観光できれば満足
・高級な船で優雅な船内生活を送りたい / 不自由なく食事、船内生活できればよい
・船に弱いので飛行機でドレーク海峡を越えたい / 多少揺れても南極へ少しずつ到達する気分を味わいたい
・できるだけ安い費用で旅行したい / 多少値段が高くてもしっかりした南極観光を楽しみたい
各運航会社はコンセプトが違うので、それぞれ強みと弱みがあります。
当社では、ありのままの特徴をお客様へご紹介いたします。
3.南極クルーズシーズンの違い
3-1.南極の観光シーズン
3-1.南極の観光シーズン
一般的に南極旅行は10月から3月までの間で行われています。
これは、南半球の春から秋頃のような季節感で、この時期を過ぎると太陽の日照時間が極端に短く、気温も下がり、野生動物も営巣地から姿を消してしまいます。
船は南極を離れ、北極クルーズへ移動します。
南極のシーズンで見られるものが若干変わってきますので、ご参考ください。
3-2.南極半島エリアの観光シーズン
3-2.南極半島エリアの観光シーズン
以下は南極半島付近の風景や動物の様子です(場所や年により時間差があります)
- 10月~11月
南極半島は長い冬が終わり春から初夏にかけての時期です。ペンギンたちは、南極半島や島々に戻り、石ころを集めて巣作りを行います。巣作りが終わるとメスペンギンを迎え交尾をします。
風景は観光シーズンの中で雪や氷が多く、雪景色が一番きれいな時期です。海氷が多いためアクセスが制限される場所もあるかもしれません。
- 12月
たくさんのペンギンが卵を温めている時期です。アザラシや鳥たちも活発になってきます。クジラは南極を目指して南下する様子が見られるかもしれません。
この時期も雪と氷が多い、非常に美しい南極らしい風景をお楽しみいただけます。
- 12月末~1月頃
ペンギンのヒナが孵り、生まれたてのヒナやよちよち歩きのヒナがご覧いただける時期です。ペンギンのヒナをご覧いただきたい方は1月以降の出発が良いでしょう。 アザラシが活動し、鳥たちの子育てが行わる賑わいの時期です。クジラも餌を求めて南極半島付近で見ることができます。日照時間が長く、雪も次第に融けてきますが、まだまだキレイな景色をお楽しみいただけます。
- 12月末~1月頃
ペンギンのヒナが孵り、生まれたてのヒナやよちよち歩きのヒナがご覧いただける時期です。ペンギンのヒナをご覧いただきたい方は1月以降の出発が良いでしょう。 アザラシが活動し、鳥たちの子育てが行わる賑わいの時期です。クジラも餌を求めて南極半島付近で見ることができます。日照時間が長く、雪も次第に融けてきますが、まだまだキレイな景色をお楽しみいただけます。
- 2月頃
ペンギンのヒナは親ペンギンと同じくらいの大きさまで成長し、好奇心旺盛であちこち歩き周り、他のヒナペンギンたちと一緒にいる様子を見ることができ、巣は崩れているところが多くなっています。アザラシやオットセイ、たくさんの鳥たちが餌を求めて活発です。クジラも1月よりもよく見られる時期です。
雪はかなり融けて地肌が見え、ペンギンも活動的に動くため、ぬかるみが多くなります。海氷も開けているため、船はさらに南下できるようになります。2月末は秋に変わる時期で日没が長くなります。
- 3月頃
近づいてくる冬の前にペンギンは海に戻り始め、営巣地のペンギンは少なくなります。肉食のヒョウアザラシは陸地を離れたペンギンを追うため沖合で狩りをする姿がよく見られます。クジラも活発でこの時期が最も多くのクジラをみることができます。
素晴らしい夕日を眺めることができ、雪が最も少ないため上陸して長い距離を歩くことができます。次第に寒くなり、冬が近づく南極の荒々しい美しさを体験できるのもこの時期ならではです。
3-3.サウスジョージア島、フォークランド諸島の観光シーズン
3-3.サウスジョージア島、フォークランド諸島の観光シーズン
風景や動物の様子は場所や年により時間差がありますのでご了承ください。
- 11月
サウスジョージア島に春が訪れ、野生動物の活発な姿をご覧いただけます。多くの海鳥が繁殖シーズンを迎えるためバードウォッチングに最適です。ジェンツー、マカロニ、キングペンギンも繁殖のために上陸し、巨大なナンキョクオットセイが発情期の縄張り争いもご覧いただけるでしょう。昨シーズンに孵化し厳しい冬を耐え抜いたキングペンギンのヒナは巨大な茶色い着ぐるみのような姿は非常に人気です。フォークランド諸島ではイワトビペンギンが上陸し、アホウドリも繁殖のために巣作りを始めます。メスのゾウアザラシがまん丸の目をした子供を産み、様々な鳥たちも活動が盛んになります。
- 12月
気温が上昇しサウスジョージア島の短い夏が始まります。ゾウアザラシ交尾やオットセイの出産、キングペンギンの孵化の時期です。過酷な環境の中でも島は活気を帯びてきます。フォークランド諸島も暖かい夏の始まりになります。晴れることもありますが、頻繁に暴風雨が発生し荒れた天候になる可能性もあります。ほとんどの鳥はこの時期までに卵を温め始め、早い時期に到着した鳥たちはヒナが孵っている場合もあります。オタリアは繁殖の繁忙期で縄張り争いが行われています。 - 1~2月
サウスジョージア島は夏のピークで、野生動物は子育ての時期です。オットセイ、アホウドリ、広大なペンギンのコロニーなどたくさんの種類の野生動物との出会いが期待できます。
フォークランド諸島ではほとんどの卵が孵化し、子育て真っ盛りの時期です。ペンギンのヒナは捕食者である肉食の大型鳥類から身を守るためヒナたちが身を寄せ合っています。また、外海へ餌を取りに巣と忙しく往復する親鳥も見ることができるでしょう。
- 3月
サウスジョージア島では山に雪が戻り、再び冬の到来へ変化する様子を目にすることができるでしょう。多くの野生動物が移動の準備をし、厳しい冬に備えて栄養を蓄えるために海岸は野生動物たちで活発になります。ヒナの巣立ち始める時期で、野鳥観察に最適です。また、オキアミを追ってこの地域を通るザトウクジラや他の種のクジラもよく見られます。フォークランド諸島も野生動物たちは冬に向け海へ出る準備が始まっています。ペンギンやアザラシの脱皮が始まり、アホウドリや鵜、ペンギンのヒナは子供の産毛が取れ、大人の羽に変わる様子もご覧いただけます。羽の広いアホウドリのヒナも巣の上で羽ばたき、飛行の練習をしています。
3-4.まとめ
3-4.まとめ
南極は時期よって野生動物や風景に違いが出てきます。同じ南極半島のコースでも訪問する場所は違いますので、全く同じコースは2つとないと言われています。
一般的に南極半島のベストシーズンはヒナも風景も楽しめる1月と言われ、料金も一番高い時期です。ペンギンのヒナよりも一面の美しい壮大な雪景色を見たいのであれば春から夏の時期の11~12月。クジラが一番見たい場合は2~3月となります。ペンギンのヒナが目的の場合、小さい時期は12月末~1月中旬。好奇心旺盛に歩き回るヒナは1月下旬から2月が良いでしょう。
ただし、この情報はあくまでも参考としてご覧ください。訪問する場所や年によって例年よりも前後する場合がありますのでご了承ください。
南極クルーズの選び方について、ご不明な点がございましたら、当社までお気軽にお問合せください。